新しいさいたま百景―明日に引き継ぐ さいたま百景― の選定をスタートします

はじめに

 さいたま百景選定市民委員会では、市民からの公募に基づいて“さいたま市の今―21世紀初頭のさいたま市のまちの姿―を表わしている風景”を100箇所選定し、2010年11月に『市民が選んだ さいたま百景』を発行しました。
 それ以来約10年が経ち、当初の目的である「旧4市の市民がお互いに地域のことを知合い、さいたま市民としての一体感を醸成すること」もある程度進んできたと考えられます。
 現在、21世紀の半ばに近付きつつある中で、さいたま市にもさまざまな面で大きな変化や課題が想定されます。そこで、明日のさいたま市の環境や市民生活のあり方を考える一助とするため、新たな視点からさいたま百景を選定することとしました。

新百景選定のコンセプト・案

今後、気候変動、人口減少と超高齢化、国際化、経済の成熟、働き方の変化等が進む中で、例えば2050年のさいたま市に向けて引き継ぎ、育てていくべき特に大事な風景を選定し、それらを若い世代を含めた市民で共有することを目指す。

①さいたま市の風景の基盤であるとともに、市民生活の安全性にとって重要な地形と水の流れを表わす風景を、市民に知ってもらうことを目指す。→2050年の安心安全
  地形は今後とも変わることがないものだが、気づかれることが少ない
  キーワード:水害、わずかな高低差、小河川、谷戸、農業、etc.
 
②オールさいたまではなくより小さな地域単位での、歴史に基づく特徴や個性、魅力を伝える風景を、市民に知ってもらうことを目指す。→2050年への継承
  意識して残さないと消えてしまい、東京に飲みこまれてしまわないために
   キーワード:歴史・文化、遺跡、古い道筋、伝統行事、街の記憶、etc.

③新しい活力を受け入れつつ、現在のさいたま市民の生活の豊かさ、楽しさをつくり出している活動の風景を紹介して、それらの活発化を目指す。→2050年の豊かさ
  さいたま市は人材が豊富であり、さまざまな地域活動が行われている
キーワード:国際化、新住民の流入、世代交代、伝統文化と新しい市民文化、
多様な住宅環境、コミュニティ、リノベーション、ローカルビジネス、etc.

新百景選定のテーマ・案

○コンセプトに基づいて、風景の表現しているテーマをいくつか設定し、それらに沿って風景を選定していきます。
 *テーマは今後の検討の中で変更される可能性があります。

テーマ・案

 (選定の狙い)

◆治水の風景:

さいたま市にとって最も可能性が高く重大な災害は水害。それから市民生活を守っている施設や活動の風景を知ってもらいたい。

◆利水、親水の風景:

さいたま市は水が豊富。それを農業や生活・産業、あるいはレクリエーションの場として活用している風景を紹介する。

◆暗渠道の風景:

台地から流れ出る数多くの小河川(排水路)はさいたま市の特徴。近年ではそれらが暗渠化され、安全で快適な遊歩道等として利用されている。

◆谷戸利用の風景:

大宮台地に小河川がつくりだした多くの谷戸地形は、さいたま市の特徴。近年まで都市的開発から取り残されていたこの部分をどう利用していくのかを考える。

◆台地端の風景:

大宮台地等の端部から低地部を見晴らした風景。あるいは端部の斜面地やそこに立地する寺社の風景。それらは、見過ごされがちな微妙な地形を可視化する風景として重要。

◆農地、里山の風景:

さいたま市は首都圏の100万都市でありながら、農地が多く残されて市街地と共存しているが、農業の担い手等の問題も深刻。これらの農地、斜面林を含めた里山の風景、市民による保全活動等も知ってもらいたい。

◆原始・古代の風景:

縄文海進の時代からの貝塚や古墳の風景は、大昔からさいたま市地域で豊かな生活が営まれていた証し。これを市民に知ってもらうとともに、後世に伝えていきたい。

◆旧街道と石造遺跡等の風景:

人びとによって建てられた庚申塔などは、中世、近世における当地域の豊かな生活の証し。特に旧街道に沿った原位置にあるものは、地域景観の基準点としても重要であり、大事にしていきたい。

◆近代(戦前)の風景:

首都圏にあって活発な都市開発が行われてきたさいたま市において、戦前の街並みとして残っているものは極めて少ない。これを市民に知ってもらうとともに、街の記憶として残していきたい。

◆地域の知られざる

伝統行事の風景:

旧村等の地域の核となっている寺社等で、今も行われている伝統的な行事。これを地域の文化として新しい市民にも知ってもらうとともに、残していきたい。

◆さいたまの住まいの風景:

さいたま市は何と言っても住宅都市。その良好な住宅地環境が失われてはならない。タワーマンションの増殖だけではなく、古くからの住宅地を含めて、多様な形態の住宅の風景を確認し守り育てていきたい。

◆さいたま文化の風景:

さいたま市固有の文化(浦和の画家、大宮の盆栽、岩槻の人形等)を伝え、あるいは新しい市民の文化を育んでいる風景を大事にしていきたい。

◆新しい都市活動の風景:

若い市民が中心に進めている新しいイベント、リノベーション、ローカルビジネス等の新しい都市活動の風景を紹介して、将来のさいたま市像を示すとともに、市民の参加を活発化していきたい。

選定のスケジュールと手順

 新百景選定のスケジュールは以下のように想定しています。

  • 2019年12月:新しいさいたま百景選定方針の決定
  • 2020年1月~2021年12月:新さいたま百景の募集と選定(約2年)
  • 2022年1月~2023年6月:新しい百景本の編集(約1年半)
  • 2023年7月頃:新しい百景本の発行

 募集と選定に当たっては、テーマごとの公開ワークショップを開催し、そこで提出された風景(新百景候補)をWebで発表しながら広く市民からの応募を求めていきます。

 なお、現在のさいたま百景については、選定時から10年経ち、一部には消滅した風景、大きな改変を被った風景、あるいは意味が変化した風景などもあります。それらの現況を把握して、新しい百景の選定に生かしていきます。


 公開ワークショップの開催予定、そこでの議論の内容や提出された風景については、逐次さいたま百景ホームページに掲載していきます。

 関心のある市民の皆様の参加をお待ちしています。

新・さいたま百景応募用紙(wordファイル)

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